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身体の使い方について

今年もあとわずかを残すだけになりました。今年最後のコラムは、様々な症状を掘り下げてきた自分なりの総括を述べてみたいと思います。
結論から言うと、身体から発生される「痛み」に代表されるサインは、「使っているところ」と「使われていないところ」のバランスの崩れから来ると言えるのではないでしょうか。このバランスとは左右や前後、または上下や内外、それらを混合したものなどです。結局のところ「身体の使い方」が重要ということなのです。

 例えば、ショルダーバッグを肩にかける時、誰でも少なからず「かけやすい方」と「かけにくい方」が存在すると思います。かけやすい方ばかり使うと良くないと皆が思っているはずです。ところが、かけにくい方の肩にしばらくかけるとなぜか肩からスルーと落ちたり、しっくりこないのです。
また、ゴルフのスイングも左右回転ともにきちんとふれる人はなかなかいません。立って身体を左右に回転させてみてください。回転しやすい方と回転しにくい方があると思います。
単純に考えれば、この回転しにく方向に回せば、くせが戻る気がします。ショルダーバックも反対で持てばいい気がします。しかし、この時の「身体の使い方」そのものが違っているのです。
それは、「使っているところ」と「使われていないところ」というものをその人が自覚していないし、動かそうと思っても身体が上手く使えないのです。その理由には2点あります。一つは、関節の動揺性や筋肉の拘縮があるために使えなくしている。もう一つは、その身体の使い方そのものをしたことが無い為、神経伝達が上手くできない。
 試しに肩幅ぐらい足を開いて、目をつぶって軽くを脇を閉めてゆっくり身体を左右に回転させ、その時の肩甲骨と背骨の間の動きに集中してみてください。まったく違った使い方をしていることが初めの動き出しでわかるはずです。

無意識下で行われる行動は、いつもと同じ動き方や使い方をしています。でもそれで日常の動きはすべてできるし、運動もなんなくこなすことができます。通常は何も問題もないのです。しかし、この一方向の動き方をしていると使い過ぎによる疲労や組織の炎症、筋の拘縮、関節の動揺性等が起こり、血流障害や神経障害をもたらすのです。
これらの現象は、筋力や強い弱いではないのです。先ほどの2つの理由からなのです。今年コラムで取り上げた、膝の障害やコアの使い方、肩の力の抜き方等、すべてこの身体の使い方によって起きている問題や障害と言っても過言ではありません。
おそらく、これは幼児期(新生児)からの脳レベルでの神経伝達の優位性が引き金で徐々にそのような「身体の使い方」を覚えてしまうのだと思います。その結果、身体にゆがみを作ってしまう現象なのです。この歪みは自分ではどうすることもできなくなる為治療が必要になるのです。
脳の老化を防ぐには、いつもと違うことをすることが重要といいます。同じことの繰り返しでは脳細胞が活性化できず衰えてしますのです。使われていない細胞を活性化させる必要があるのです。

 今後、臨床の場では、その人の「使っているところ」と「使っていないところ」を正しく評価し、末梢で起こっている現象に対する原因治療とともにこの脳レベルでの神経伝達トレーニングの重要度を増してくるのではないでしょうか。

 来年は寅年です。4回目の年男になってしまいます。次の寅年のことを考えると(なんと60歳)残された時間は少なくなってきているので、日々臨床において「なぜ?」「どうしてか?」と疑問を持ちながら、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。
 来年もスタッフ一同、更なる治療の質の向上に重きを置いて研鑽する決意でおりますので、 何卒よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様が良い年をお迎えできますように!

Merry Christmas & A Happy New Year!